トピックス0005 評価者のつぶやき2 ユーザビリティの損得勘定

トピックス0005

評価者のつぶやき2
ユーザビリティの損得勘定

2003.11.13 萩本

 

こんなことを考えてみた。

ユーザビリティについてよく言われることに、対費用効果というものがある。ユーザビリティ評価には金銭的にも時間的にもそれなりのコストがかかるわけだが、その結果改善された製品がどれだけの利益をもたらすのかという問題である。、これは資本主義の上に成り立っている企業である限り当たり前の発想であるが、ユーザビリティの場合、これが簡単に計算できるものでもないので、実際やっかいな問題である。

ここで少々視点を変えて、メーカーとユーザをひっくるめた一つの社会としての損得勘定を考えてみる。例えば、ある製品が何らかの事情で適切なユーザビリティ ではないまま市場に出たとする。この商品はなかなか売れ行きがよく、最終的に10万台売れたとする。ユーザの総数は少なくとも10万人である。さて、この製品をユーザが使うとき、使い方がわかりにくいために操作を間違えがちで、1回の操作で1分間のロスが発生する。ユーザはやがて学習するが、この製品を買ってから捨てるまでに、10回はこの間違いをするものとする。

ここで、この製品を使う全てのユーザの全ての時間的ロスを計算すると、

100,000 (人)×10(回)×1(分)=1,000,000(分)=約16666.7(時間)=約694.4(日)

となる。社会全体として、実に2年近くの時間を損することになる。裏を返せば、この社会は、このユーザビリティ上の問題を解決するために同じだけの時間をかけても、充分元が取れることになる。同じようなことが金額的な損得でもいえるはずである。

もちろん、この理屈でメーカーにもっと時間をかけてユーザビリティに取り組めと言うわけにはいかないことはわかっている。でも、設計上のほんの些細な甘さが、市場に出た時には爆発的な損失を生むことがある。それがヒット商品であればあるほど、使用頻度が高ければ高いほど、損失は増幅していく。2年かけるべきだとは言わないが、1日検討すれば解決できる問題なら、その努力は惜しまないでほしいと思う。


●最後までご覧いただき、ありがとうございました

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2003.11.13作成  2011.05.20フォーマット修正