HR2009-01
2009.01.30 萩本
パソコン用語はカタカナ言葉も多く、好きな人でなければ、正確におぼえるのも大変そうな気がします。かくいう私も、パソコンの画面で使われている「○○バー」という名称があまりにも多くておぼえられず、今自分が触っているこれは何バーなのかわからないありさま。
逆に、取扱説明書などで正しい用語で説明されても、その用語が何を示しているのかわからないこともあります。
きっと私と同じように、パソコン用語がわからなかったりおぼえられなかったりして困っている人がいるはず。そういうわけで、今回のレポートのテーマはパソコン用語にしてみました。
パソコン用語といっても多岐にわたるので、今回はパソコン画面内の部分の名称15個にしぼって調査しました。使用したのは、Windows XP Home Edition SP2のデスクトップ画面です。
2種類のアンケートを作成し、当社にいつも協力してくださるモニター登録者の方々と当社スタッフにどちらか一方に答えてもらいました。
2種類のアンケートの違いは、名称を示したうえで、それがどの部分を指す言葉なのか選択するものと、部分の名称を自分で記述するものです。名称がわからない場合は、それを人に伝えるときにどのように表現するかを聞きました。
実際のアンケート内容と正解は、以下のリンクをクリックしてください。
19歳から63歳までの男女、全25名の方から回答をいただきました。
アンケート1(選択肢)の方は14名、アンケート2の方は11名で、平均年齢や男女比にも若干の差はありましたが、今回はあまり細かいことにはこだわらずに、結果を見ていきたいと思います。
アンケート1(選択肢)、アンケート2(自由記述)の正解者数、正解率を集計したところ、以下のような結果になりました。
正解者数と正解率(選択肢)
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正解者数と正解率(自由記述)
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選択肢方式の平均正解率は68.57%、自由記述方式では21.82%と、圧倒的に選択肢方式の方がよい結果となりました。「名称をおぼえてはいないけど、言われればわかる」というのは、多くの人が実感するところだと思います。この結果は、まさにそのような実情を示していると思われます。
「言われればわかる」というのは、例えば取扱説明書やパソコンに詳しい人から受ける説明が言葉だけでも、どの部分を指しているのかわかるということを意味します。選択肢方式で正解率が低かった項目は、言葉だけでは理解してもらえない可能性が高いことになります。
名称をおぼえていないと困るケースには、例えば サーポートセンターに電話をして、自分のパソコンの状態を言葉で説明するような場面が考えられます。今回の結果を見る限り、本来の名称で説明できないケースが相当ありそうです。
「アイコン」は自由記述でも80%を越える正解率であり、数あるパソコン用語の中でもとりわけ広く知れ渡っている言葉であることがわかりました。一方で「メニューバー」や「タスクバー」は正解率が低い結果となりました。いずれもGUI(グラフィカルユーザインタフェース)の象徴のような存在であるにもかかわらず、大きな差がありました。
さて、今回注目の「バー」ですが、アンケートには「タイトルバー」「メニューバー」「ツールバー」「スクロールバー」「タスクバー」「言語バー」の6つが含まれていました。 このうち「メニューバー」「ツールバー」「タスクバー」は選択肢方式でもワースト3であり、ユーザにとって非常にわかりづらいということがはっきりと表れた結果となりました。
では、どんな名称と間違えたのでしょうか。それぞれの内訳を見てみましょう。
「メニューバー」回答内訳
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「ツールバー」回答内訳
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「タスクバー」回答内訳
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「メニューバー」は、「メニュー」「タスク」などが付く別の名称と混同されていました。自分がやりたいこと(=タスク)を項目から選択する(=メニュー)というイメージから連想したのでしょう。
「ツールバー」はほとんどの人が「メニューバー」と誤解していました「メニューバー」と「ツールバー」は位置も近く、文字が並んでいるかボタンが並んでいるかの違いだけなので、あまり区別されていないのかもしれません。
「タスクバー」の内訳はバラバラで、特に無回答が3名もいたのが特徴的です。Windowsを使っている限り、タスクバーを操作したことがない人はいないはずですが、その機能や役割をきちんととらえることができないため、ユーザにとって何だかわからない存在となっているようです。
「バー」というのは、その部分が細長いという形上の特徴を表しているわけですが、機能的な特徴は「メニュー」「ツール」「タスク」といった言葉に込められているはずです。ユーザがイメージする機能とそれらの言葉があまり合致していないため混乱が生じるのでしょう。
自由記述方式に答えていただく際「もしわからない場合は、電話で人に教えるとしたらその部分をどのように説明するかを書いてみてください。」とお願いしました。いくつか面白い結果をご紹介しましょう。
マウスポインタ |
「矢印」という人が4名いました。確かに「ポインタ」「カーソル」などより、はるかに日常的でわかりやすい言葉です。 |
| 最小化ボタン | 「一番下に引っ込める」「画面を隠す」といった表現がいくつか見られました。確かに、ウィンドウの形のまま小さくなるなら「最小化」ですが、ウィンドウの形ではなくなるので、「引っ込める」「隠す」の方があっているような気もします。 |
| 閉じるボタン | 「バツ印」「バッテン」という人がいました。確かに日本人にとっては非常に馴染みのあるマークです。 「終了」という意見もありました。厳密に言うとウィンドウを閉じることとアプリケーションを終了することは異なりますが、両者を特に区別していない人もいるのでしょう。 |
| スクロールバー | 「スクリューバー」と表現した人がいました。「スクロール」と「スクリュー」の音が似ているので混同してしまったのでしょう。 |
気になっていた「バー」は、やはりきちんと理解している人は少ないようです。対して、「アイコン」「閉じるボタン」などは正解率が高く、予想通りの結果でした。
WindowsのようなGUIシステムは、もともと専門用語をあまりおぼえなくても使えるように考えられたものです。その結果、Windowsを使っていても用語はあまり知らないユーザがたくさんいます。これは、きちんと教わらなくても何となく使えるということでもあるので、悪いことではありません。
でもパソコンの状態や使い方について人と話をするためには、やはり言葉で表現し、相手の言葉を理解できる必要があります。GUIといえども、ネーミングはよく検討する必要がありそうです。
●最後までご覧いただき、ありがとうございました
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2009.01.30作成 2009.07.01更新