HR2008-01 伝言があっても伝言が見られない?! 災害用伝言板サービス

HR2008-01

伝言があっても伝言が見られない?!
災害用伝言板サービス

2008.09.01 田渕

はじめに

ドコモの画面 auの画面 ソフトバンクの画面 ウィルコムの画面
ドコモの災害用伝言板トップ例(F900ic) auの災害用伝言板トップ例 (W43H) ソフトバンクの災害用伝言板トップ例(824SH) ウィルコムの災害用伝言板トップ例(WX310K)

今年2008年6月、東北地方を中心に大きな地震がありました。「岩手・宮城内陸地震」です。皆さんも記憶に新しいかと思います。震災に巻き込まれ、いまだに行方の分からない方がいらっしゃいます。残された家族におかれては、いたたまれない辛い気持ちで今も帰りを待ち続けていらっしゃいます。

被災地にいる家族や友人、知人の安否を確認するには電話で確認できればよいのですが、回線が集中してつながりにくくなります。そこで、携帯電話のネット上で安否が確認できる「災害用伝言板」というものがあります。このサービスは震度6弱以上の地震が発生したときに運用が開始され利用することができます。

タスク

早速、当社スタッフ10名(au:5人、ドコモ:2人、ソフトバンク:2人、ウィルコム:1人)が被験者となり、この災害用伝言板を試してみることにしました。一応、緊迫感を持って取り組めるように2つのタスクを設定しました。

<タスク1>

昨夜未明、○×県で震度6強の地震が発生し大きな被害が出ています。昨日から○×県へ出張に出かけたままのわが社の社長(小畑)の安否が確認できません。何回電話を掛けてもつながりません。あなたは友人から携帯電話で災害用伝言板サービスが利用できることを教えてもらいました。あなたはこのサービスを利用して小畑から伝言があるかどうか確認しようと思いました。

あなたの携帯電話でこのサービスを探して小畑から伝言があるかどうかを確認してください。分かっている情報は彼の電話番号(090-●●●●-●●●●)だけです。

(タスク1のゴール:ドコモの災害伝言板で伝言がないことを確認できればOK)

<タスク2>

同じ被災地に休暇を取って旅行中のわが社の従業員Aさんとも連絡がつかず、安否が確認できません。あなたの携帯電話からこのサービスを探してAさんから伝言があるかどうかを確認してください。分かっている情報はAさんの電話番号(070-××××-××××)だけです。

(タスク2のゴール:ウィルコムの災害伝言板で伝言「今、盛岡にいます。無事です」が確認できればOK)

タスクの結果

被験者のほとんどはサービスがあることは知っていましたが、実際に試したことがあった人は10人中1人だけでした。

では、注目のタスク結果です。10人の被験者の内、利用経験者が1人いたので9人の結果を発表します。

タスク1結果グラフ

タスク2結果グラフ

タスク1、2両方とも9人中7人の被験者ができましたが2人はできませんでした。

タスク1ができなかった被験者Aさんと、タスク2ができなかった被験者Bさんは原因が同じで、2人とも自分のキャリアの災害伝言板しか確認していませんでした。

被験者Cさんは、タスク1、2とも「災害用伝言板」にはアクセスせず、「災害伝言ダイヤル」に直接電話を掛けてしまったためできませんでした。

サービスの意外な落とし穴!?

実はこのサービス、キャリアごとに運用されていたのです。ご存知でしたか? つまり、相手のキャリアがわからなければ、全てのキャリアの災害伝言板を確認する必要がありました。Aさんは自分のキャリア(au)の伝言板しか確認していませんでした。Bさんのキャリアはドコモで、たまたま小畑と同じキャリアだったのでタスク1ができましたが、タスク2でキャリアが変わったために確認できませんでした。

このことは被災者が伝言を送ったとしても、確認する側が気づかないことがあるかもしれません。タスクができた7人も最初は相手の電話番号を一度入力すれば全てのキャリアの伝言を探してくれると思い込んでいました。使った感想ではタスクができた7人中4人が、相手のキャリアがわからない場合、全てのキャリアを試すのが面倒だったと答えました。

自分のキャリアの掲示板で相手の電話番号を入力して検索を行うと、伝言の登録がなければ「登録されていません」と結果が表示されます。そして、画面の下の方に他キャリアの災害用伝言板のリンクが貼られています。相手が自分と違うキャリアであればそこにアクセスしてもう一度確認します。検索結果を表示した際、下のリンクに気づけばよいのですが、携帯電話の画面サイズが小さいと自分のキャリアの検索結果しか見えず、下のリンクが隠れてしまうことがあるようです。Aさんの携帯電話は画面が小さかっため気づきませんでした。Cさんも他キャリアのリンクがあることに気づきませんでした。

Cさんは「災害伝言ダイヤル」に電話(171)を掛けた訳ですが、これは「災害用伝言板」と名称がとても似ています。この2つはどちらも災害用のサービスで、仕組みは似ていますが内容は全く別ものです。災害伝言ダイヤルは音声の伝言サービス、災害伝言板はネット上のサービスです。名称が似ているので紛らわしいですね。

紙面の都合上、全ての結果をここでご紹介することはできませんが、被験者の感想も多く出されました。最も多かった感想が「各キャリアの伝言板にアクセスするたびに、電話番号を初めから入れ直さなければならないのがわずらわしい。」というものでした。

感想

私自身も含めこのサービスのことを知っていても、実際に試したことのある人は意外と少ないのではないでしょうか。タスクから明らかになったように、初めて使った場合、伝言板にアクセスできなかったり、伝言があっても伝言が見られないケースが起こったりしそうです。震災時は頼りになるサービスなので、誰もが安心して使えるサービスであって欲しいと思います。

また、今回のタスクを通じて安否情報の登録と確認以外に、いろいろなサービスがあることを知りました。例えば、あらかじめ送信相手を登録しておけば、自分が伝言板に安否情報を登録した際、その相手に自動でメール送信してくれるサービスもあります。

将来どこで地震に遭遇するかわからないので、このサービスは是非、利用してみようと思いました。この他にキャリア独自のサービスも提供しているようです。

この災害用伝言板の体験サービスが毎月1日に利用できるようになっています。皆さんもこの機会に試してみてはいかがでしょうか。ちなみに、今日は9月1日(防災の日)です。


2008.09.01作成 2012.09.07フォーマット修正